2014年1月27日月曜日

【読書感想文】「アフガン、たった一人の生還/マーカス・ラトレル」


久しぶりに本を読んだ。

それもノンフィクション長編は久しぶり、いや初めてかな。
いろんな意味でおもしろかったっす。

この物語、映画化されるらしいです。


あらすじはこう。

アフガニスタンでタリバン掃討作戦の特殊任務についたSEALSのメンバーが、山中での作戦実行中に羊飼いの一家に偶然発見される。
一家には子供がいた為、人道的配慮によりSEALSメンバーはこの家族を見逃したんだけど、これが運の尽き。
この家族は山を速攻降りるなり、タリバンの一味に「アメリカおるで~!」ってチクりましたとさ、、さあ大変!SEALSは200人のタリバンに追われる身に・・・
過酷な訓練を受けたさすがのSEALSメンバーも、山岳地帯の戦闘になれているタリバンに徐々に追い詰められ・・・

結局生き残ったのは1人だけ。
・・・その最後の1人の手記がこの本なのです。

作戦実行中に羊飼いの家族に遭遇した時、SEALSのメンバーは揉めに揉める。
「タリバンの一味かもしれない、今すぐ殺すべきだ!」 これ圧倒的意見。
「子供は殺せない!」  これ最後に残った人(=つまりこの本の作者)の意見。

この最後の1人の戦士は、
逃げ延びた先で最終的に反タリバンの村民達に救われる。
そこにも純粋な目をした子供がいて、けなげに戦士のお世話するのです。

なんでしょうか・・・
子供を救ったひとが、最終的に子供に救われた・・・
つまり、正義は最後に勝つと言いたいんだろうけど、、、なんか引っかかるな。

アメリカは最後まで正義を貫いてます!なにせタリバンは悪なのです!
この痛烈なメッセージを描き抜いている。言い切ってる。
これはこれである意味スゴイね。

まあ作者ご当人の気持ちを察すると、自分の判断がアダとなり仲間5人を殺されたワケなんで、これはいたたまれないわねぇ。

そしてニュース等で見る限り、タリバンの非人道的行為は目に余るものがあるのは事実。

でも、、、
たとえ平和ボケの日本で暮らしている一凡人の意見としても、何か素直に感動できないんだわねぇ~

どうも、この背景にひらひらとはためいているアメリカ国旗が気になるのです。

単純に物語だけを追えば、「男の友情」「厳しい軍の訓練と規律」「正義」というものがマッチョに描かれており、それはそれでおもしろい。
 
正義と自由の名のもとに、実際に戦地で任務を遂行しているアメリカ軍人の純粋な気持ちを否定する気もさらさらありません。

でもねぇ・・・

たぶん映画は、戦闘シーンは盛り上げるだけ盛り上げて、最後はお涙頂戴ってことになりそうだわねぇ・・・
いわゆる、アメリカの戦争を正当化した、ご都合主義のプロパガンダ映画になるんだろう。
 
「もう騙されないぞ」っていうのが素直な感想です。